画家・版画家・イラストレーター・デザイナー・クリエイターのHP金属磨き

2009年01月22日

銅版画の技法と道具・材料など

 
銅版画の技法と主な道具・材料など


銅版画は、簡単にいうと、原版(銅版)から人力のプレス機で紙に摺った版画です。

 まわりくどくいうと、厚さ0.8mmの銅板ニードルなどの道具や腐蝕液などを使って、彫って描いた原版(銅版)の絵柄の溝(凹部)にインクを詰めて、余分なインクを拭き取って、凹部だけに残った絵柄のインクを人力のプレス機で強い圧力を加えて、紙に転写した版画です。
 人力のプレス機で摺るので、自動の輪転機で大量に刷られる印刷物とは異なります。

銅版画の技法とは、銅版を彫る技法のことで、摺る方法ではなく、原版を作る方法です。

原版(銅版)を作る方法は大きく分けると、直接法間接法の2つです。
______________________________


 直接法は、金属の道具を使って絵柄を描きながら銅版を直接彫っていきます。

直接法には、ドライポイント、メゾチント、エングレーヴィングなどの技法があり、使用する金属の道具が各々違います。各々の主な道具は、ポイント、ベルソー、ビュランなどです。

 ドライポイントの道具には、ポイント、スクレッパー、バニッシャーなどがあります。

 ポイントは太目の金属の針で、描画するのに使います。
銅板を引っ掻いたときに刻線の縁に銅のまくれ(バー)ができ、摺のあがりの線が滲むのが特徴です。
 スクレッパーは刃をもち、細部を削る道具です。ポイントで出来たバーを、この刃で削って調子を整えるのに使います。
 バニッシャーは、先がヘラ状の道具です。細かい傷を磨いて真っ白な調子を出すのに使います。

 メゾチントの道具には、ロッカー(ベルソー)、ルーレット、ハーフトーンコームなどがあります。
 メゾチントは、まず先に暗部を銅板の全面につくります。銅板の表面でロッカー(ベルソー)という道具を左右に揺り動かして、一面に無数のささくれ、サンドペーパーの表面のような状態をあらかじめ目立ててから、次にその小さな点とまくれをスクレーパーやバニッシャーという道具で削り取って、明部の調子を作り出して原版を作ります。
メゾチントは手間と時間がかかりますが、黒が実にきれいで深みがあり、光と影の美しい調子を表現できる技法です。

 エングレーヴィングの道具は、主にビュランです。
ビュランは、断面が三角形の鋭利な刃をもち、木の枝が力を入れて握りやすいようにドアノブのような形をした彫刻刀です。銅版に硬質かつ非常にシャープで精密な線が彫れます。刃先の角度で線の太さが変わり、鋭角のビュランは細い線に、90度近くなるほど太い線になります。


 間接法は、エッチング、アクアチントなどです。

 前もって全面を防蝕膜でコーティング処理をした銅板の上から、鉄筆などで絵柄を描き、銅版を酸性液に浸して、描画して防蝕膜が削りとられた銅の露出部(図柄)だけを腐蝕させ、間接的に原版を作ります。

 腐蝕液は、第二塩化鉄硝酸を用います。腐蝕容器と排気設備が必要になります。

 エッチングの主な道具ニードル(鉄筆)です。防蝕剤は固形・液体グランド蜜ロウ、黒ニス(止めニス)などを使用します。その他の道具はグランドやニスを塗るのに使うローラーや刷毛、細筆、ウォーマー、電熱器などです。
 ニードルで描いたエッチングの線は繊細です。線の太さは、腐蝕液に浸す時間で調整し、長時間になるほど線は太くなります。
 細い線を残すには、ある程度腐蝕した途中で腐蝕液から取り出し、細く残したい線にだけにグランドかニスを塗って防蝕しておきます。その後、腐蝕液に再度浸せば、腐蝕を止めなかった他の線は太くなります。
 腐蝕後、グランドやニスの防蝕膜は、灯油とウエスなどできれいに銅版から除去します。  

 アクアチントは、線描のエッチングと異なり、いわば面のグラデーション表現のための技法です。
 アクアチントは松ヤニのことで防蝕剤です。銅板面に細かくした松ヤニの粉末をふりかけて、銅板の裏からアルコールランプなどで松ヤニが完全に溶けないように熱して、松ヤニの粒、粒を表面に付着させて、銅版を腐蝕液につけた後、松ヤニをエタノールで除去すると、サンドペーパーの表面のようになります。濃淡は腐蝕時間の長さによって調節します。白くしたいところは、腐蝕前にグランドやニスを塗っておきます。
 銅版画の技法は単独だったり、併用されたりしますが、アクアチントはエッチングと併用して使われることが多いです。
______________________________


トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. 銅版画 直接技法 3種  [ 天使のいる回廊 天使巡礼 天使堂 @ 伊豆高原 ]   2009年01月22日 17:23
 銅版画の制作は、先に銅板に刃物や薬品(腐食液)で下絵の凹を彫って、原版をつくってから、凹部にインクを詰めて、プレス機を回して紙にインクを移し取ります。摺りあがった作品が銅版画です。まわりくどい書き方をしましたのは、銅板に下絵を彫る方法、その時に用いる刃...

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
画家・版画家・イラストレーター・デザイナー・クリエイターのHP金属磨き