市場価値

2012年06月06日

コレクションの市場価値が上がったって?

 長年に渡り現役画家として精力的に制作活動を続けられるという​ことは立派なことと想う。
 作品価格も若い頃に比べて高くなっていることは、一般によくあ​ることだろう。
 版画は、ほぼ同じ作品が複数枚が摺られて存在しているから、若​い頃の作品が売れ残っていたりする。また若い頃の油彩など、一度​、売れたのが出戻ってきたり、他から仕入れたりした作品が画商の​元にあったりする。それを再度、販売する場合、保存状態が良けれ​ば、現在の上がった価格に準じて値を上げて、或いは、仕入れ値に​利益を上乗せして販売することはよくあることだと思う。
 同じ作家の版画、或いは同サイズの同程度の内容の油彩などの所​有者にとっては、市場価値が上がったと嬉しく想うのはよくある人​情だろう。
 しかし、所有者が作品をその値段で売ろうとしても、そう簡単に​売れるとは限らない、というより、売れることはまず難しいと思う​。
 保存状態がよくて、引取ってくれる画商がいたとしても、その時の販売価格ではなく​、仕入れ値になるから。
 それに所有者が手放すということは、人気がない指標にもなり、​作品価格の値下げ要因にも作用するから。
 では、新規にその絵を買う側にとっては、高い買い物になるのだ​から、惚れた弱みもあるだろうし、必ずしも嬉しい話なのだろうか​?いざ本当に作品を購入する時、その人にとっては価格は大きなウ​ェートを持つけれど、買う動機によってその意味合いも変わってく​ることだろう。買った後で値が下がるリスクもありうるから。
 買わない人、或いは、買えない人にとって、その作品の内容より​も、もし価格に興味や関心があるなら、現在の値段を鵜呑みにせず、冷静に作​品内容との兼ね合い、その妥当性、上がってきた経緯などの情報を​加味して考えた方がよい。


tenshijunreitenshido at 10:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

2012年01月09日

アート作品の評価とは

 アート作品が売れたことをもって評価されたという人がいる。
 高く売れたら、それだけ評価も高いという。それも一つの評価には違いないが。

 それでは、他の作家の、それより安い作品は、評価や価値が低いという訳か?

 価格(値段)の高低は単純に比較できるから、わかりやすい。
 アート作品の売買で値段が付けられ、売約されて実績は残る。どの作家の作品がいくらで売れたか、作家の売上高が、アート市場での市場価値ということはできる。

 それは、画商などバイヤーや投資家あるいは投機家にとって、もしくは画家にとっては、その収益性という意味で重要だろう。

 しかし、市場価値だけが、アート作品の評価の基準なのか?他にはないのか?

 市場価値は、通常、マス・メディアと連動している。

 マス・メディアに頻繁に取上げられれば、知名度が上がる可能性は高まる。また、知名度の高い作家の作品は、マス・メディアに取り上げられ易い好循環も生まれる。

 市場での販売価格、マス・メディアでの露見、知名度、集客力、宣伝効果、などなど高評価を得る。

 知名度が高ければ、画商あるいは美術館などにとっては、集客力があって都合がよい。宣伝広告が効果的で、経費を無駄にかけずに済む。
 画商は値段が高くても楽に売れるし、美術館は高額で収蔵しても借りても集客で利益が出る。

 だから、作品が優れているのか?くどいようだが、それは市場価値に過ぎない。

 高額な作品または知名度のある作品、イコール優れた作品ではない。

 誰にとっての高評価なのか?本末転倒のトリックに騙されてはいけない。

 アート作品に限らないことだが、高額、イコール価値があるといえるほど単純ではない。

 独自の価値観をもってない人は、市場価値を受け入れることになるだろう。

 あるいは購入者独自の価値観による作品評価とその購入目的(動機)から、作品の価格(市場価値による評価)との均衡を考えないで購入する人は経済感覚にも無頓着な人くらいだろう。

 一個人で高額な作品を購入する場合は特によく考えよう。購入する動機や目的を。



tenshijunreitenshido at 13:44|PermalinkComments(0)TrackBack(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

2012年01月08日

アート作品の評価とは(補足)

 前回、「アート作品の評価とは」で、作品の市場価値について触れた。

 画商の立場では、収益性の観点から販売価格が高額の作品の評価は高い。

 しかし、仕入れ面では逆に廉価でなければ収益性は低くなるから、高額作品は負(マイナス)の性格も帯びている。

 それはまたアート作品を鑑賞して楽しもうと購入する人達にも同様にあてはまり、高額な価格はマイナス要因である。

 では、高額作品を好ましいと考えるのは誰か?

 それは既に作品をたくさん所有しているコレクター、在庫(作品)を抱えている画商(美術館)、債権として押さえている銀行、あるいはアーティストまたはその遺族、そして販売広告そのものが収入源のマス・メディアである。

 アート作品の価格が高額で話題になるのは、市場で販売する時または手放す時であって、消してアート作品を鑑賞する時ではない。

 鑑賞目的でこれから購入を検討する時はそのことを加味した方がよい。



tenshijunreitenshido at 04:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote