非売

2011年11月17日

「展示会のシビアな話」 ※Facebookノート2011/11/16から転載

 「展示会のシビアな話(Facebook ノート作成: 門番 追夢人 日時: 2011年11月16日 21:14)」の全文とコメントを転載しました。

 なお、コメントの日時は省略、コメントして頂いた方のお名前はアルファベット文字で略記し、門番 追夢人からの返信をわかりやすくするため、一部、コメント者名の略記を付け加え、コメント者のコメントの順番を変更しました。


「展示会のシビアな話」

 絵が好きだし、「美術館」も開館してるので、一般の人より絵画を購入する機会は多いと思う。ただし、軍資金が常に乏しいから、少額の小さな作品がほとんどだけれど。
 たまにコレクターと言われたりすると身が竦む。画家さんの代表作というか大作はおろか、標準?サイズにさえ手が届かない。若手やほとんど無名の小さな良品を目敏く見つけて、コソッとお迎えしている。
 いつも内心、恐れているのは、私なんぞに作品を買われて、画家さんはさぞがっかりされてやいないか?ということ。著名な文筆家や有名なコレクターに買われた方が画家さんにとって誇りになるだろうから。
 個展やグループ展で高額な作品が売れてたりすると、どんな人の手に渡ったのか?つい画廊主に訊いてしまったりしたこともあった。
 そんな劣等感を持っているから、それをも吹き飛ばしてくれるほどの魅惑的な、ちょっと無理をすれば手の届く作品に出逢うと後先考えず衝動買した後で、少し反省して自問自答したりする。

 駆出しの若手からもう有名な画家さんまで参加している、あるグループ展で、有名作家の高額であろう作品に早くも売約シールが貼られていた。それで会場にいらした、その関係者らしき人に訊いたら、見ず知らずの人に買われたくないから、そうしていると教えられた。私は悲しくも納得した。
 でも、それは察しているから、せめて、最初から非売と表示して欲しいと思った。シビアな話を聞いてしまった。

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【コメント】

TK: 先日、イラスト主体のギャラリーで結構名の知れたイラス​トレーターの方が「最近の若い人は気に入ると、わりと気​軽に作品を買ってくれるんですよね」と嬉しそうに話して​ました。ですから作家さんによるのかもしれませんよ(^​^)

門番 追夢人: TK様へ 
 コメントありがとうございます。
 作家さんによるのは、もちろんそれは解っています。
 すみません。せっかく慰めてくださったのにお気を悪くさ​れるかも知れませんが、私の性分で書かせていただきます​ね。
 販売している以上、売れないよりは売れた方がよいでしょ​う。でも命を削って手放したくないほど想い入れて絵にこ​だわりをもって描く作家さんの絵が好みなのです。だから​こそどんな小さな廉価な作品にさえ私の劣等感は頂点を迎​えたりするのです。現存作家の絵画購入は、量産品の商品​と異なると経験的に理解しています。

TK: そうでしたか。大変失礼致しました。

門番 追夢人: TK様へ
 とんでもありません。今後ともどうぞよろしくお願い致し​ます。


AK: 売れる=評価だと思ってます。売れる事が嬉しくないとい​うのは嘘でしょう。買手を選ぶ、、とんでもないことです​。たぶん、見栄ですね。画廊にしても迷惑なお話です、、​いろいろ他にもあるのですけど、、、少しどうかと思うこ​とが多いです。非売作品を出品する画家に問題があります​ね。

門番 追夢人: AK様へ
 こうあるべしというか、こうあって欲しいという視点から​のお話とは別に現実にはいろいろあるので、ケースバイケ​ースなのです。
 画家、画廊、購入者で、立場により重視する視点に微妙な​ズレもありそうです。もちろん各個人で感じ方、考え方も​異なるので更に解り難くなりそうです。
 また基本的に内容は同じでも、違いを取上げるか、共通項​を見出そうとするかで、一見、対立があるかの如く錯覚す​るように難しい話になりますけれど、大筋、仰る通りと思​います。それを前提にお話をさせていただきます。
 
「売れる=評価だと思ってます。」
 売れることは、一面的評価に過ぎないと思っています。売​れたこと(金額を含む)を過大評価するとマネーゲームの​トリックに陥る可能性があるので、慎重にならざるを得ま​せん。
 「売れる事が嬉しくないというのは嘘でしょう。」
 そりゃぁ販売する以上、売れて嬉しくないことはないでし​ょう。
 でも、例えば、見る目のない金持ちが印刷カレンダーを買​う様な感覚で贈答用に買ったとしても本心から嬉しいので​しょうか?表向きはどうあれ、嬉しくないという画家の方​が私は人間として信用できます。
 「買手を選ぶ、とんでもないことです。」
 ビジネスとしてはとんでもないことであっても、あり得る​話です。
 「画廊にしても迷惑なお話です」
 むしろ買手を選んでいるのは、画廊の方が多い印象を持っ​ています。
 「いろいろ他にもあるのですけど、、、少しどうかと思う​ことが多いです。」
 確かに今までそんなことの方が多い印象でした。
 「非売作品を出品する画家に問題がありますね。」
 ある企画画廊の個展用に描いた作品を他の老舗画廊が若手​画家から事前に買い上げてしまった話を聞いたことがあり​ます。企画画廊のオーナーは若手を叱っても、なぜ叱られ​るのか、その画家は理解できなかったと言っていました。​企画画廊は老舗画廊に抗議しましたが、タダで購入済みの​絵を貸すから問題ないだろうと言ってのけたそうです。そ​んなことは銀座界隈では日常茶飯事とか。企画画廊は売約​済みのその作品は展示しませんでした。売ることのできな​い作品は展示しないというポリシーを持っていたからです​。そしてその企画画廊はもうなくなってしまいましたけれ​ど。
 
 現実にはいかんともしがたいですが、少なくとも私は自分​なりの道を見つけながらこうありたいと想っています。

AK: 書いてる最中に前コメントが入っていました。おっしゃる​内容わかります。同じことを二度書かせてしまったようで​す。大変失礼いたしました。

門番 追夢人: AK様へ
 いえいえ、とんでもないです。
 コメント有難うございました。今後ともよろしくお願い致​します。


YM: その絵を欲しい、手元におきたいと思う方の所に行くのが​一番だと思っています。大事にしてもらえそうですし…

YM: 非売品もしくは売約済みの絵をそのまま展示(赤シール貼​ってある)していると、わかっているのに「この絵が欲し​い」と言うわがままなお客様がいるらしい…。

門番 追夢人: YM様へ
 大きく視点をお客様の問題に振るとは大胆というか、鋭い​ですね!
 我が儘なお客は論外ですけれど、私は購入者の立場から書​いてるつもりでした。
 お金を出せば他の商品と同じく買えるのですが、個展など​で画家と逢って頂く場合、ただ金を出せば客の立場で済ま​される世界ではない、作品は制作者の生々しさを背負って​いることを買う側に伝えたい、このノートから伝えられた​かはわかりませんが、と想い書きました。

YM: 制作者が何を背負っているか…そんなことは考えなくても​いいのでは?単純にその絵が好きかどうかで判断していい​のではないでしょうか?苦労話聞かされても…私なら、し​らける。面白い裏話なら、聞きたい。

門番 追夢人: YM様へ
ですからそれは性分の話で、どちらでもよいのですよ。理​屈ではなく、性格の話でもあるのです。しらけるのも、ケ​ースバイケース、画家も、購入者も、個人個人皆違います​。ただ、どちらかにころぶ組合せがあるかも知れないとい​うこと。それは作品にも表われてくる。見えている世界も​棲む世界も違っているのかも知れませんね。


HS: 作り手としては、どんな作品でも欲しいと言われればそれだけで嬉しい話です。わたしとしては、売りたくないなら趣味で制作・展示すればいい。売るなら仕事となるのだから、依頼品でもない限り誰に買われるなんて選ぶ方が間違っているような気がしますよ。

門番 追夢人: HS様へ
 コメントありがとうございます!
 仰られていることはその通り素朴で正論です。
 そうあるべく努力して頑張っておられる作り手の方々も​大勢いらっしゃるのは否定すべくもない事実です。

 私はここで、間違っているか否かをあまり問題にしたい​のではないのですよ。

 お金を払える人に対して仕事(ビジネス)という観点か​ら、誰に買ってもらうかを選ぶのは間違っていると断罪し​ても、今の私にはあまり意味を持たないのです。
世の中、一般に、グリーン車、指定席など価格や会員制な​どで客層は選別されていますから。

 また、自作の絵を売る絵描きは、被雇用者ではなく個人​事業主です。例えが悪いかもしれませんが、嫌なら余所の​店にお行きとお客に毒づく偏屈オヤジのつくるラーメンを​食べたくて長い行列ができている店を想像してみて下さい​。そのお客はそのラーメンを食べたいのです。
 ただ、そのやり方がよいと言いたい訳ではないし、誰で​もそんなやり方で商売できる訳ではないのですが、失敗す​れば売れないだけですから。
 そもそも自作の絵を売る絵描きの大半がまともな職業と​して成り立つほど日本社会は成熟してきませんでしたし、​今の景気は最悪です。絵描きの大多数は常に社会的に弱い​立場にあると思います。
 私がノートに書いた一例は、才能もあって成功している​画家の作品の置かれた市場の環境が、たまたま私の劣等感​のド真ん中を突き刺した極端なレアケースでしたが、「売​りたくないなら趣味で制作・展示すればいい。」というの​もまた極論です。
 正論をわかっていても多くの職業画家には、内心、でき​れば売りたくないと思っている部分が残っていても人情と​して私は極自然なことと想っているのです。

 むしろ、今までの大量消費的な商品あるいは投機対象の​如くビジネスライクに金さえあれば傍若無人に絵画を購入​してきた高目線の富裕層に、今でもパトロン的なその層だ​けに表向きは謙った画商スタイルが、一部の選別された有名​画家だけの売り絵を高額で供給してきて、景気が悪くなっ​たら今や縮小の憂き目にあって、海外の富裕層を期待する​市場の価値観でもあると思えるのです。絵画をただ消費し​て生活スタイルや日本の文化に取り込めない仕事?的な割​切型の価値観と私は距離を置きたいだけなのです。


OY: こんばんは。いい意味でいろいろ考えさせられました。
独身なので想像ですが。。。思い入れのある作品は自分の子供のようなもので、どこの誰か分からない人に喜んで子供を渡す人はいないのと同じことなのかな、と。だから逆に言えばもしも知らない方であっても、本当に絵を愛してくれる方であれば嬉しいような気がします。購入何年後かに「今も大事にしてますよ」と一言くださるような素敵な方に拾っていただけたら画家として本望だし幸せだろうな~。と勝手ににやにやさせていただきました。・・・でも実際はそんなに簡単な問題ではなさそうですね;

>>命を削って手放したくないほど想い入れて絵にこだわりをもって描く作家さんの絵が好み

すごくいい言葉ですね。はっとしました。私はまだ駆け出してもないただの自称作家ですが、次回以降の展示会では意識させていただきたいです。まとまっていない長文失礼しました。でしゃばりました。

門番 追夢人: OY様
 こんばんは♪ コメントありがとうございます!
 作者の込めた分身のようなアウラ(aura)に何年間もの永きに渡り向き合える人の耐性は並大抵ではありません。そういう意味ではむしろ画家が買い手を選ぶのでもなく、買い手が作品を選ぶのでもなく、作品が買い手を選ぶと言った方が適切かも知れませんね(笑)



tenshijunreitenshido at 13:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote