点描
2012年11月06日 23:44
五年程前だったかな、絵の展示会で、ペンで上手に線や細かな点描の作品を制作している、まだ駆出しの若い画家さんを見つけると、銅版画制作を奨めたりした。
それは、私が、線描とか、銅版画が好きという、誠に自分勝手な軽い動機からだった。
今は少し反省している。
私が30代前半の頃、カメラ撮影に少し凝ったことがある。中古の中級機種を使用していたが、ある時、撮影に同行していた友人の性能の良いカメラのファインダーを覗かせてもらった。それも明るいレンズで視野率の大きいファインダーを覗くと、まるで世界が違って見えた。シャッターを押す瞬間のインスピレーションが全く違ってくると直感した。
その経験があるから、作業工程が全く違えば、インスピレーションも大きく変わるだろうと思えるようになった。
手描きと銅版画では制作工程が全く異なるから、個人差もあると思うけれど、誰もが銅版画に適性があるわけではないし。
余談だけれど、手描きが得意な画家さんが、デジタル描画ソフトにもトライする場合、人によっては、インスピレーションが狂ってスムーズに上達できないことも起り得るリスクがあるようにも思う。
美しく繊細な線描をペンや鉛筆で描けるに越したことはないと思う。
余計なお世話とは思うが、腱鞘炎にならぬよう、脇目を振らずに描き続けて、腕を磨く方がよいと今では想っている。
ペン画、鉛筆画は、作家さんの個性がダイレクトに表れるからとても魅力的だし、奥も深いし、大好きになってしまった!
でもやはり、持論というものは、要望と同じく、私的な好みとか、利害や関心から発してしまう。
まだ反省が足りてないか!